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大阪地方裁判所 昭和34年(わ)469号 判決 1963年2月27日

被告人 清水正三 外二名

主文

被告人清水正三を懲役一年に

被告人瀬渡秀治を懲役八月に

各処する。

但右被告人両名に対し本裁判確定の日から一年間右刑の執行を各猶予する。

訴訟費用中証人増田信次郎同田中正治同城賀本京一同中野甚太郎同藤井貞次郎らに支給したる分は被告人瀬渡、証人結城歌子に支給したる分は被告人清水の各負担とし、証人中島三郎(二回支給している)に支給したる内金三八〇円については被告人瀬渡内金三五〇円については被告人清水、同瀬渡の連帯負担とする。

本件公訴事実中被告人清水に対する農地法違反・収賄・公職選挙法違反、被告人瀬渡に対する収賄、被告人井上に対する贈賄の点はいずれも無罪。

理由

(罪となるべき事実)

被告人清水正三は昭和三〇年二月二一日大阪府河内市長となり、同三四年二月一日施行の同市長選挙に際し、同年一月二〇日立候補して再選されたものであつて、同市長として同市を統轄してこれを代表し、同市の財産の管理、収入及び支出の命令、会計の監督並びに同市の行政事務一般を管理し、これを執行するもの、被告人瀬渡秀治は昭和三一年一一月一日同市総務課長となり、同三二年六月一日機構改革によつて同市総務局長となつて同市長の補助機関として一般行政事務を担当し各課の事務を統轄し、なお同市長の命により河内第三中学校用地買収委員長を命ぜられ右用地買収等の事務を司つていたものであるが

第一、被告人清水同瀬渡の両名は地方自治法第二〇四条の二において、地方公共団体の議員に対する給与等の種類が指定され、同市議会議員に対しては、報酬及び職務を行うため要する費用の弁償並びに特に条例でその旨を定めたときには期末手当を支給することができるだけで、それ以外如何なる給与その他の給付も禁止されているにも拘らず共謀の上、同市議会議員等の利益を図る目的をもつて右法令に違反して同被告人らの任務に背き、昭和三三年一二月一七日頃より同三四年一月一日頃までの間大阪府河内市岩田四一九番地の同市役所等において、昭和三三年度予算の教育費中の河内第三中学校用地買収費から、別表記載のとおり、同市議会議員太田正男他二四名に対し退職金として、一議員当り一〇〇、〇〇〇円宛を支給し、よつて同市に対し合計金二、五〇〇、〇〇〇円相当の損害を与え、

第二、

一、被告人清水、同瀬渡の両名は共謀の上、昭和三三年一二月一九日頃同市役所において、被告人瀬渡が前記河内第三中学校用地買収委員長として業務上保管中の右用地買収費の前渡資金中より擅に現金六〇〇、〇〇〇円の内五〇〇、〇〇〇円については被告人らにおいて着服残金一〇〇、〇〇〇円については藤井助役と中野収入役らに五〇、〇〇〇円宛各分配贈与して以て右現金六〇〇、〇〇〇円を業務上横領し

二、被告人瀬渡は同三四年二月七日頃前同所において同市吏員中島三郎を介し前記業務上保管に係る前渡資金中より現金三〇〇、〇〇〇円を被告人清水個人の借用金支払に充てるため擅に着服して業務上横領し

たものである。

(証拠の標目)(略)

(弁護人の主張に対する判断)

一、被告人瀬渡の弁護人沖源三郎は

被告人瀬渡は市長の命により事務を担当する吏員に過ぎないので、従つて市長の命令に反して行動することは期待できなかつたもので命令による行為として責任阻却するか又は命令に違反することが期待できなかつたとして責任阻却するもので被告人瀬渡の本件犯罪は無罪であると主張する。なるほど被告人瀬渡は市の吏員であつて市長の命により事務を担任し、従つてその命に反して行動することは許されないが、違法な命令に従う必要はない。本件背任・業務上横領の各場合について、考えてみるに何人を被告人瀬渡の立場においてみても市長の命令に違反することが期待できなかつたというような特別の事情は存在しないので以上弁護人の主張は理由がないのでこれを採用しない。

二、被告人清水の弁護人勝山内匠は被告人清水は昭和三〇年一月初代河内市長となつたのであるが、当時河内市は赤字で困つていたので、同年一一月頃財政再建整備団体となり、議員の歳費、給与、備品、其他に亘り徹底的に緊縮政策を実行し議員、吏員一体となつて努力したため大いにその成果をあげ同三二年一一月一五日自治庁長官の表彰となつたものでこれらの点を勘案すれば議員一人に支給した一〇〇、〇〇〇円なる金額は記念品料(弁護人は地方自治法第二〇四条の二は記念品又は記念品料を贈ることまで禁止していないと主張している)として不当のものでない、今日の社会通念に合致したものというべく本件議員に対する支出は地方自治法第二〇四条の二に違反するものにあらずと主張するけれども前記認定の如く議員の任期満了による退職金として支給せられたものであつて自治法第二〇四条の二に違反することは明白であるのみならず如何に弁護人主張のような特別の事情があつたとしても、記念品料として一議員あたり一〇〇、〇〇〇円の金額はあまりにも高額に失し、寧ろ記念品料とみることが社会通念に反するものと考える。勝山弁護人はまた仮りに然らずとするも国家公務員法には罰則の章を設け不当支出に関して同法第一一〇条にてこれを禁止しているが、地方自治法には罰則がない。これ国家公務員は国家の中枢機関であるから、これに対し厳に刑事罰を加うべきであるが、地方公務員は中枢機関ではないから敢て刑事罰を加えなくとも行政罰乃至は損害の救済規定を適用するをもつて足るとしたが為に外ならない。従つて地方自治法違反の不当支出に背任罪の規定を適用するは失当である。若し背任罪の規定を適用するとすれば、国家公務員法の罰則との比較からも失当である。蓋し背任罪は懲役五年以下又は罰金五〇、〇〇〇円以下であるが、国家公務員法第一一〇条不当支出違反は懲役三年以下又は罰金一〇〇、〇〇〇円以下である。国家公務員より監督され指導される下級機関職員たる地方公務員が同程度以下の事をしながら、国家公務員に比し重い刑事罰を受けることになり刑の均衡を失することゝなる。本件は行政に対する放任行為であり背任罪の適用は除外せらるべきものとして無罪を主張する。

然しながら右弁護人の主張は地方自治法第二〇四条の二違反の不当支出が刑罰法令に触れない場合、これを本件についてみるならば、背任罪の構成要件を充足していない場合ならば、或は正当であるかも知れないが、不当支出が同時に背任罪の構成要件を充足しているような場合は、背任罪に関する規定を適用するは当然の事である。次に刑の権衡の点であるが、国家公務員法第一一〇条の不当支出違反の場合でも、それが同時に背任罪の構成要件を充足しているような場合は背任罪として処断すべきであり弁護人主張の如き刑の権衡を失するというような問題は起らない。

以上のような理由で弁護人の主張はいずれも理由がないのでこれを採用しない。

三、被告人瀬渡の弁護人寺島祐一は地方自治法第二〇四条の二の違反行為に対し、罰則の規定のないのは、これは取締規定でなく自治の円満を期する行政規定であるからである。然るにこれを刑法の罰条に該当するとして処罰しようとするは、自治法の精神を無視するものであつて、法律上許されないものであると主張する。

然し地方自治法第二〇四条の二違反の不当支出の総ての場合に刑罰法条を適用することは或は地方自治法の精神を無視することになるかも知れないが、右はあくまで単なる不当支出であつて背任罪の成立しない場合に限る。右の不当支出が同時に背任罪に触れるような場合は刑法第二四七条を適用すべきは当然の事である。よつて右弁護人の主張は失当としてこれを排斥する。

四、更に弁護人寺島祐一は、河内市の総務局長は市の吏員として市長助役らの命により事務を行い、市長の命により各課の事務を統轄するもので、市長の補助機関であり何ら独立の職務権限はないと主張し、恰も背任罪の成立を否定するようであるが、刑法第二四七条にいう他人の事務を処理する者とは固有の権限でその事務を処理する者だけでなく、その者の補助機関として直接その処理に関する事務を担当する者も含むと解すべきで、この点に関する弁護人の右主張は正当ではない。次に同弁護人はその主張は明確ではないが被告人瀬渡は市長から第三中学用地買収委員長を命ぜられ用地の選定、交渉或は買収費五、〇〇〇、〇〇〇円受領方を命ぜられたことは相違ないが、これらは総てその都度市長の命により行動したものであつて、即ち市長の補助機関として行動したもので、その点に関する独立した職務権限なく、従つて買収委員長として前記五、〇〇〇、〇〇〇円を業務上保管したことにはならないと主張するもののようである。然しながら市の吏員たる総務局長が市長の命により第三中学用地買収委員長を命ぜられ買収に関する事務の担任を命ぜられ、その行動につきその都度市長の命があつたとしても買収委員長としてその用地買収費の前渡金を受領したる場合業務上これを受領したるものと解し、これを自ら保管したるときは業務上自ら保管したものと解すべく、これを第三者に保管させた場合は第三者を介して業務上保管したものというべきである。従つてこの点についても弁護人の主張は理由がない。更にまた同弁護人は本件功労金支出はさきに勝山弁護人が述べたことと略同様の理由のもとに地方自治法第二〇四条の二に違反しないと主張する。然しながらさきに述べたとおり本件支出は退職金として支出されたもので右法条に違反することは明瞭である。ただ同法条は記念品程度の給付まで禁止しているものでないとの勝山弁護人の意見については裁判所は同感である。寺島弁護人主張の功労金の支出も記念品料の意味で支出されたものならば或は弁護人の主張は正しいかも知れないが、その額が問題である。本件の如く一議員あたり一〇〇、〇〇〇円の支出は社会通念上到底記念品料とは考えられないことはさきに述べたとおりで、この点についてもまた弁護人の主張は失当である。よつて弁護人の以上の主張はいずれもこれを採用しない。

(法令の適用)

判示各所為中各背任の点は刑法第二四七条罰金等臨時措置法第三条第一項第一号刑法第六〇条に各業務上横領の点については同法第二五三条(判示第二の一の事実につき刑法第六〇条適用)に各該当するところ背任罪については所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法第四五条前段第四七条第一〇条に則り重い判示第二の一の業務横領罪の刑に法定加重したる刑期範囲内で被告人清水正三を懲役一年被告人瀬渡秀治を懲役八月に処し、情状刑の執行を猶予するを相当とするので、右被告人両名に対し同法第二五条を適用し、本裁判確定の日から一年間右刑の執行を各猶予する。訴訟費用負担の点については刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条を適用し主文掲記のとおり被告人清水同瀬渡らに負担させることとする。

本件公訴事実中

被告人清水に対する農地法違反・収賄・公職選挙法違反、

被告人瀬渡に対する収賄、

被告人井上に対する贈賄、の点はいずれも犯罪の証明十分でないので刑事訴訟法第三三六条に則り主文のとおり無罪の言渡をする。

(無罪の理由)

一、農地法違反の点につき

農地法違反の公訴事実は被告人清水が農林大臣の許可を受けないで、昭和三三年一一月一九日頃河内市役所において吉田長太郎こと金永弼に対し、同人が非農地に転用することの情を知りながら同市所有に係る農地合計一町七反四畝一三歩を代金八、六〇〇、〇〇〇円で不法に売渡したというのであるが、前記農地が河内市の所有であることにつき証拠がない。関係の証拠によれば、河内市が前記農地を非農地転用のため林正男他十数名から買受け代金全額の授受を完了し且つ右売買につき知事又は農林大臣の許可を条件とするような意思表示もなされていないようである。然しながら農地の売買は農地法第三条の場合であると第五条の場合であるとを問わず、知事(第五条の場合で農地五、〇〇〇坪をこえるときは農林大臣の許可が必要)の許可を法定条件として成立し、右許可があればそのときから将来に向つて効力を生ずるが、右許可のあるまではその効力は生じないまま不確定の状態にあるものというべく、売買の当事者が右売買に知事の許可を得ることを条件としても、しなくとも右法律上の効果に影響するものではない。(昭和三七年五月二九日最高裁判決、同三六年五月二五日最高裁判決参照)されば本件の場合についてこれをみるに、河内市が林正男らから買受けた本件農地については知事又は農林大臣の許可を受けていないのであるから右売買契約の効力は生じない。従つて該農地の所有権は依然として右林正男らに属し河内市にはその所有権は移転しないものといわねばならぬ。次に本件農地が仮りに市の所有でなく、林らの農民の所有であり、これを被告人清水が、金永弼に売渡したように、訴因の変更がなされたとしても、被告人清水の第一回公判調書中の供述記載、当公廷における供述及び被告人清水の検察官に対する昭和三四年二月二八日付供述調書の2を綜合すれば、被告人清水が金永弼に売渡した本件売買契約は、河内市が前記林らから本件農地を買受けた売買契約の効力の発生したること、つまり該農地の所有権が河内市に移転することを第一の条件としてなされたものとみるべきである。従つて前記同市と林らの売買契約につき未だ農地法第五条の許可申請につき許可のない限り被告人清水が林ら所有の本件農地を金永弼に売渡すも、所有権移転の効力を生ぜず、農林大臣の許可なくして林ら所有の農地を金永弼に売渡すも直ちに農地法第五条に違反するものと解することはできない。以上の理由で本件農地法違反の公訴事実はいずれの点からみるも無罪を免れない。

二、本件贈、収賄の公訴事実につき

証人浜上善之助、同豊島棟建、同福田喜代美、同竹下百馬、同井沢一助らの当審における証人尋問調書中の各供述と同人らの検察官に対する各供述調書、証人宮路正人(第三三回公判)の当公廷における供述と同人の検察官に対する供述調書被告人井上の当公廷における供述と同被告人の検察官に対する供述調書被告人清水の当公廷における瞹昧な供述を彼是綜合検討するときは右各検察官調書の証拠能力を否定するまでには至らないが、その取調には可成の無理のあることが窺える。よつてまず

1  二、〇〇〇、〇〇〇円の贈収賄の点につき

その公訴事実の要旨は被告人清水は昭和三一年一一月二一日被告人井上より河内市営上水道工事請負協定並びに同工事の各区分契約の締結及びその施行等に関し、有利寛大な取扱を受けたことの謝礼並びに引続き将来も同会社において同市営水源池工事の請負等同様有利な取扱を受けたい趣旨のもとに供与されることの情を知りながら貸借名下に現金二、〇〇〇、〇〇〇円の交付を受け、もつてその職務に関し賄賂を収受し、被告人井上は上記のとおり同趣旨のもとに被告人清水に対し貸借名下に現金二、〇〇〇、〇〇〇円を交付し、もつて同被告人の職務に関し賄賂を供与したというにあるが、右公訴事実に照応するような証拠は措信し難く寧ろ被告人清水は当時市の交際費その他自己の借金で困つていたが、久保田水道工業株式会社の総務部長をしていた被告人井上に対し市の交際費に困つていることを理由に金員の借用を申込み河内市長清水正三が久保田水道工業株式会社より金二、〇〇〇、〇〇〇円を借用するものである旨の借用証(市長名下に市長の公印が押捺してある)並びに返済内訳明細書(証第一五号)を差入れ同会社側としても前記事情に同情し河内市を借主とするならばその弁済も確実であると考え金二、〇〇〇、〇〇〇円を貸与したものであつて、被告人清水に対し前記趣旨のもとに賄賂として提供したものでないとみるのが真相のようである。この事は前記証人浜上、同豊島、同竹下、同井沢らの証人尋問調書中の各供述それに終始一貫した被告人井上の当公廷における供述や被告人清水の当公廷における瞹昧な供述等を綜合して考えてみると、これを認めるに十分であり、前記公訴事実は結局犯罪の証明なきものといわねばならぬ。

2  一、五〇〇、〇〇〇円の収賄の点につき

その公訴事実の要旨は被告人清水、同瀬渡の両名は共謀の上昭和三三年一一月一〇日頃宮路正人を通じ久保田水道工業株式会社大阪営業所長藤村重一らより前記贈、収賄の公訴事実と同趣旨のもとに供与されることの情を知りながら現金一、五〇〇、〇〇〇円を借受け、もつて職務に関し賄賂を収受したというにあるが、被告人瀬渡の第三七回の公判廷における供述、宮路正人の検察官に対する昭和三四年二月二二日供述調書証人竹下百馬、同井沢一助らの当審における証人尋問調書中の各供述記載、押収に係る証第二〇号(預り証)を綜合すると、昭和三三年一〇月頃久保田水道工業株式会社は河内市に対し一三、〇〇〇、〇〇〇円の工事請負代金の債権を持つていたが、当時右会社は資金繰りのため困つていたので、現地の宮路正人を通じ、同市に対し再三再四右代金の支払を請求したが、工事竣工検査未了との理由で、その支払を受けることができず、同月末頃漸く内金一〇、〇〇〇、〇〇〇円の支払を受けたが、残り三、〇〇〇、〇〇〇円についても再三その支払の請求をしたが、前記検査未了の理由でその支払を受けられず、会社側として困つていたところ、同年一一月五日頃被告人瀬渡は三、〇〇〇、〇〇〇円を出そう但し内一、五〇〇、〇〇〇円貸して貰いたい旨申出でたので、会社側として資金繰りで困つているときであり、どうせ竣工検査完了する迄は三、〇〇〇、〇〇〇円の支払を受けることができないのであるから、一、五〇〇、〇〇〇円でもさきに支払を受け残り一、五〇〇、〇〇〇円は検査完了してから支払を受けることにした方が寧ろ得策であると考え被告人瀬渡より証第二〇号(預り証)のような預り証を受取り、検査完了後に支払を受けることにして、預り名義で被告人瀬渡に金一、五〇〇、〇〇〇円を提供したものであつて、証人井沢がいう如く一、五〇〇、〇〇〇円は押えられた、と述べているが、これは真相に合致する適切な言葉であるように思われる。被告人瀬渡は強制的に押えたものでないが、会社側としてこの場合とつた処置は止むを得なかつたものであり、いわば体よく押えられたとみるのが正しい考え方でないかと思う。公訴事実の如き趣旨で被告人清水、同瀬渡らの職務に関し該金員が授受されたものとは到底考えられない。これに反する各証拠はいずれも措信し難い。

三、公職選挙法違反の点につき

公訴事実は被告人清水は昭和三四年一月二二日頃河内市長選挙に関し同市若江北五二八番地吉田化成工業株式会社において、外国人である前記吉田長太郎こと金永弼より陣中見舞名義の下に金二〇〇、〇〇〇円の寄附を不法に受けたというにあるが、洲脇政治の検察官に対する供述調書、証人二階堂実の第一五回公判調書中の供述記載、証人吉田長太郎の当審における証人尋問調書中の供述記載(第三〇回公判において公判準備として取調)、証人姜南遠の第二〇回の公判廷における供述、によれば被告人清水は個人たる金永弼から寄附を受けたものでなく、前記会社より寄附を受けたものと認めるのが相当である。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松田伝治)

河内市議会議員分配一覧表

番号

分配年月日

場所

名義

金額

取得者

態様

1

昭和三三、一二、一七

大阪府河内市役所

議員退職金

一〇〇、〇〇〇円

市議会議員

太田正男

市議会事務局長渡辺英夫を通じ分配

2

〃 〃 一八

一〇〇、〇〇〇円

好川梅吉

3

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

平岡勝次

4

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

乾野彦太郎

5

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

飯田義一

6

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

田中正治

7

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

山原新五郎

8

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

北川健治

9

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

福田由太郎

10

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

北尾末太郎

11

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

増田信次郎

12

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

藤田庄治

13

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

中村菊太郎

14

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

中田与太郎

15

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

西山徳司

16

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

北川辰造

17

〃 〃 一九

一〇〇、〇〇〇円

沢田米雄

18

〃 〃 二〇

一〇〇、〇〇〇円

北村与市郎

19

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

西野新五郎

20

〃 〃 二五

一〇〇、〇〇〇円

東野清

21

〃 〃 〃

一〇〇、〇〇〇円

石田富太郎

22

〃 〃 二六

大阪府河内市若江北一〇七九 城賀本京一方

一〇〇、〇〇〇円

城賀本京一

23

〃 〃 〃

前記河内市役所

一〇〇、〇〇〇円

打本力雄

24

三四、 一、 七

一〇〇、〇〇〇円

植田信雄

25

〃 〃 二〇

一〇〇、〇〇〇円

山本保雄

二、五〇〇、〇〇〇円

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